トップ学校紹介学校長あいさつ

学校長あいさつ

 

hukei.jpg

平成30年度、「牟礼東小学校」と「牟礼西小学校」が統合した「牟礼小学校」は、今年度、統合4年目を迎えました。学校長を務めさせていただく髙原清子(たかはらせいこ)です。平成31年度(令和元年度)から引き続き3年目となりました。どうぞよろしくお願いいたします。

コロナ禍が続く中、牟礼小学校の令和3年度がスタートしました。思い起こせば令和2年度は、入学式・1学期始業式後、わずか5日で全国一斉の臨時休業となり、それは二ヶ月近くに及びました。

友達や先生にも会えず、家で学習を進めることになった子どもたちは、さぞ不安な思いだったことでしょう。今まで当たり前にできていた日常生活や学校生活が“目に見えない敵” に次々と奪われていく。新しいウイルス一つで、日本中,世界中の人々が苦しみ、やるせない日々を送らされている。正に予測不能な未来が突然訪れた訳です。

  中間登校や分散登校を経て、五月の最後の週から、漸く全校揃って登校できるようになりましたが、感染予防のために、学習活動や学校行事も中止や変更を余儀なくされました。子どもたちはやるせない、悲しい思いをしたことと思います。

  修学旅行も、前年度までのように、東京に一泊という訳にはいきませんでした。それでも、生涯の思い出にも残る大切な行事をなんとか実現させたいと、町の教育委員会のご助言もいただき、感染リスクの低い地域への日帰り旅行を二回実施することにしました。「東京がよかったのに」「宿泊がしたかったのに」といった文句がたくさん出るのでは…と思っていたのですが、子どもたちは、できることに感謝をし、昼食の時間は、おしゃべりを我慢して、徹底して感染予防に努め、見学では、真剣にメモをとって学んでいました。そして、旅の全てを友達と全力で楽しんでいることが、マスク越しでもよく分かりました。その笑顔に、私たち教職員も、大きな元気と勇気をもらいました。

  運動会も、秋に延期をした上で、午前中のみの短縮開催としました。五・六年生の花形種目、組体操も、例年通りという訳にはいきません。そこで、プロのストリートダンサーさんたちにご指導いただき、ダンスに取り組むこととしました。最初にいただいたデモを見たときは、正直、これは無理だろうという振り付けの難易度でした。しかし、子どもたちは友達と教え合ったり、休み時間にも練習に励んだり、正面から取り組んでくれました。4名のダンサーさんも、遠くは松本から、計五回も足を運んでくださり、熱くも温かい指導をしてくださいました。一緒に給食を食べたり、休憩時間の談笑に応じてくださったりと、つながりも生まれました。当日の子どもたちのパフォーマンスは素晴らしかった。ダンサーさんたちも、初めはパートに分けて、担当の部分だけ踊ってもらおうと考えていたのですが、その上達ぶりに目を見張り、最終的には全パートを全員で踊ろうということになりました。そして、子どもたちはそれを見事にやり遂げたのです。困難なことにも諦めずに挑戦し、達成する喜びを味わうことができました。

  その経験が生きたのでしょう。例年児童会主催で行っているいいづなっ子祭りの実施は難しい状況に、6年生を中心に「焼きいも・仲良し集会」を企画してくれました。どうしたら全校のみんなが楽しんでくれるか、なかなか交流ができなかった縦割り班の仲間がもっと互いを知り合うことができるのか、知恵を出し合い、一から考えて創り上げてくれました。当日は、楽しいゲームや6年生のパフォーマンスの数々に、全校の子どもたちの輝く笑顔を見ることができました。今年の一番の思い出にこの仲良し集会を挙げている6年生がたくさんいたことからも、大きな達成感を得ることができたのだなあと思います。

  高学年の姿を例に挙げましたが、他の学年の子どもたちもできることを考え、精一杯取り組んでくれました。牟礼小学校の子どもたちは、未曾有の禍に遭っても、それに屈することなく、自分たちの手で切り開き、自分たちの学校生活を豊かなものにし、それを楽しむ姿を見せてくれたのです。

昨年度の経験を通し、予測不能な未来においては、与えられたことをそのまま受け止めるだけではだめなのだということを痛感しました。目の前に立ちはだかるであろう壁を乗り越えていくには、自分で何が課題なのかを考え、情報を集め、整理・分析し、思考し、判断し、解決に向けて全力を尽くす。そうした力をつけていないと、未来に生きていく子どもたちは、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることはできないのだということを改めて学ぶ契機となったのです。そして、課題解決の力は、子どもたちの中に確かに育ってきているのだということを、子どもたちの姿に感じています。

今年度、本校では、課題解決の力を育む大切さを共有し合い、そのために「考えることを楽しむ児童の育成」に力を注いでいきます。これまで蓄えた知識・技能と、集めた情報をフル活用して思考し、友達と意見を交わし合い、その良さを取り入れて自らの考えをアップデートしていく児童を育むことを目指します。

牟礼小学校の学校教育目標は、「笑顔輝くいいづなっ子 ~明日も楽しみになる学校をつくろう~」

です。追究すべきは「楽しみ」の質でしょう。単に「学校の友達と遊べて楽しい」「活動ができて楽しい」という楽しさから、「自分の力が高まったから楽しい」「友達や先生と学び合い、高め合うことができて楽しい」という質の高い楽しさを求めていきたいと考えます。

自ら求めて学ぶには、目的意識が必要です。「将来、やりがいのある役割を担い、周囲の人や社会のため、もてる力を最大限に発揮して活躍したい。そのために、今の学びが大切なのだ」。そう感じることができれば、やらされる学びから自ら求める学びへと転換できることでしょう。こんな状況の今だからこそ、未来に明るい希望をもち、成長することに喜びを感じてほしい。そう願って昨年度からキャリア教育に取り組んできました。月1回程度、「わくわく未来塾」を開講。様々な分野で活躍されている7組の人生の先輩方をお迎えしてお話を伺いました。校長講話でも、お仕事のお話や、将来の夢に向かって進む大切さについて話してきました。子どもたちの感想からは、それぞれ、自分に引き寄せ、何が大切なのか、これから自分は何を大切にしていきたいか、真摯に考えてくれたことが伝わってきます。今年度も引き続き、キャリア教育に力を入れて参ります。

コロナの収束の見通しは見えず、逆に変異株に置き換わってきていることで、驚異が一層近くに迫っているように感じるこの頃。今年度も、行事や学習活動は感染状況を見ながら……ということになりますが、子どもたちの大切な学びを止めないよう、そして、輝く笑顔があふれる学校となるよう、職員一同、誠心誠意努めてまいりますので、ご理解、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

(令和3年5月)

 

このページの
先頭へ