STUDY
りんごについて学ぶ

りんご栽培の基礎

りんご栽培の基礎についてお話しします。

受粉・結実のしくみ

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りんごの受粉

りんごの受粉の特徴として、同じ品種どうしの受粉では結実しないという特徴があります。これを、「自家不和合性」と言います。「自家不和合性」とは、被子植物の自家受精を防ぐ遺伝的性質です。植物が種を存続させるために、近親同士の交配を避けて、健全な種子を作るというメカニズム。りんごはその性質を持っているため、自分の雄しべの花粉が、自分の雌しべに付いても、種を作りません。
交配を成立させるためには、品種同士の相性の良さを考慮し、組み合わせる品種を選択して、受粉させる必要があります。そのため、相性の良い違う品種を植えたり、和合性の高い品種を受粉樹にしたりします。

春の受粉

りんご栽培において、春の受粉はとても重要な作業になります。良いタイミングで確実に受粉させないと、良い果実は育ちません。最近の地球温暖化による気候変動により、タイミングを見計らうことは大変難しくなっています。
受粉方法には以下があります。

1.蜂による受粉
マメコバチ、ツツハナバチ、ミツバチ等の巣を畑に設置して蜂たちを集め、蜂によって受粉させる方法

2.人工授粉
花粉を人の手で付けたり、器具を使って花粉を散布して受粉させる方法

3.受粉用品種を植える
交配和合性が高い品種(メイポール)や、相性の良い品種を近くに植えて受粉させる方法

夏の摘果

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花が咲き終わる5月上旬〜6月中旬にかけて、幼果を間引く「摘果」作業を行います。の段階で間引く場合は「摘花」と呼ばれます。一つの花芽には5、6個の実がつきます。実が多いと全体に養分が行き渡らず美味しい果実になりません。また、木に多くの実をつけさせると、木本体に負担がかかり弱ってしまうため、適切な果実量にすることは大切な作業です。良い果実にするには、実1つに対し葉は50枚程度必要と言われていて、目安としてB4サイズの面積に数個程度の実にすることが適切。1割ほどしか実を残しません。
この作業はどうしても人間の手作業になってしまうため、この時期のりんご農家は大忙しです。

秋の葉摘み・玉回し

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収穫前になると「葉摘み・玉回し」という作業を行います。市場で流通するりんごは美味しさはもちろんのこと、見た目も重視されます。そのため、着色の良い果実を出荷するために行うのが、この着色管理の作業です。

1.葉摘み
果実は秋になって気温が下がると、陽のあたる部分が赤くなります。果実の周囲の葉を摘んで、果皮全体にまんべんなく陽をあてて着色させます。

2.玉回し
陽のあたらなる部分を、あたる側にぐるっと回転させることで、果皮全体を着色させます。

この作業は、青リンゴと呼ばれる緑色の品種(シナノゴールド、ぐんま名月、グラニースミスなど)には必要ありません。
このように手間暇かけて育てられたりんごは、だいたい秋頃に収穫を迎えます。

りんご品種の増やし方

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現在、世界で一番生産されている品種は「ふじ」です。この「ふじ」は、岩手県盛岡市に原木があり、樹齢80年。この一本の木から世界中に広がり、今では世界で一番生産されている品種となりました。
りんごは枝で増やす接木植物です。接木植物の下部となる部分を台木と言い、台木に接ぎ木する枝を接ぎ穂または穂木と言います。台木の種類によって、木の大きさや種子の適応性が異なります。