STUDY
りんごについて学ぶ

りんごのお酒「シードル」

「シードル」というお酒を知っているでしょうか?簡単にいうと、リンゴのスパークリングワインです。最近ではこの「シードル」がとても注文されていて、日本での認知度もどんどん上がってきています。飯綱町でも、飯綱町産の美味しいりんごを使ったシードル作りに力を入れています。
そもそも「シードル」とは?というお話をさせていただきます。

シードルとは

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シードルとは、りんごから造られる醸造酒。りんごのさわやかな香りと、飲みやすい口当たりが特徴です。シードルの歴史はワインと同じくらい古く、ヨーロッパでは紀元前からシードル造りがおこなわれていました。4世紀ごろには、ローマでシードルを意味する単語が使われるようになり、9世紀にスペインにおいて、りんごのお酒を意味するものとして定着します。その後、イギリスでもシードル造りが始まり、アメリカやオーストラリアなど世界各国に広がっていきます。日本では、1953年に欧米を視察した青森県弘前市の吉井酒造社長が、帰国後に醸造したのが最初だと言われています。
原材料はリンゴの果汁で、昔はりんごのみで作られることがほとんどでしたが、最近はりんご以外の果物の果汁や、ハーブ、ホップ、スパイス、ジンジャーなどを入れて色々なフレーバーのシードルを楽しむことができます。発泡性がないシードルもありますが、最近のトレンドは発泡性があるもので、アルコール度数は概ね8%以下になっています。味は甘口・辛口があり、食事にあった味を選んで楽しむことができます。

シードルの魅力

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シードルの魅力は「おしゃれでカジュアルに楽しめる」ところにあると思います。ビールよりおしゃれで、ワインよりアルコール度数が低くカジュアルに、気軽に楽しむことができます。
もともと西洋発祥のお酒ですが、今ではりんご栽培の発展にともない、アメリカやアジアまで広がっています。6月3日は「World Cider Day」に定められていて、この日は世界各国でシードルで乾杯しよう、という日になっています。

世界と日本のシードル

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世界のシードル

シードルは世界各国で親しまれていますが、その国によって呼び方の違いや提供方法の違いがあります。
イギリスやニュージーランドでは、サイダーと呼ばれビアスタイルで飲みます。フランスではシードルと呼ばれますが、スペインはシードラ、イタリアではシドロと呼ばれ、ワインスタイルで飲みます。ドイツでは、アプフェルヴァインと呼ばれ、ベンベルという陶器製のポットのようなものに入れて飲みます。アメリカでは、ハードサイダーと呼ばれ、小さな瓶に入れられ、そのままビールスタイルで飲むことが多いです。日本では、シードルと呼ばれ、ワインにように飲むスタイルが主流です。
このように、シードルはワインとビール両方のスタイルで楽しめるお酒です。

日本のシードル

シードルの産地は、りんごの生産が多い東日本〜北日本をメインに広がっています。西の方でいうと、広島県や兵庫県の山間部でも、最近シードル作りが行われるようになってきました。
その中でも、長野県は醸造所数(39社)・銘柄数(100以上)ともに日本一となっています。シードル専門の醸造所の他にも、日本酒やワインの醸造所が作ったり、りんご農家が自分達で作ったりと、日本全体でシードル作りが盛り上がってきています。

なぜ今シードル作りが注目されているのか?

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縮小するりんご市場

昨今は、若い世代のほどりんごを買わなくなっており、2016年の1世帯あたりのリンゴ年間購入数量(総務省・家計調査)によると、70歳以上と比較した場合、30代で約1/6、20代で約1/10にまで、落ち込んでいます。
りんごなどの果物は皮を剥くのが面倒くさい、コンビニに行けば気軽に美味しいスイーツが手に入る、などの理由から、昔のように家庭でりんごを食べる機会がなかなか少なくなってきているのが現状です。その影響により、国内のりんご市場が縮小し、次世代農家の顧客が減少しています。そこで、目をつけたのが「シードル」でした。

飯綱町の今後のビジョン

飯綱町の昔のりんご農家は、りんごをそのまま美味しく食べてほしいという思いでりんごの生産を行なっていましたが、次世代のりんご農家は、若者がりんごを買わなくなっているという現実を考え、シードル作りという新しいことにチャレンジしようと考えました。
シードルはビールのように気軽で、ワインのようにオシャレ、ということもあり、若い世代にも人気が高まってきています。
飯綱町では、英国から贈られた海外品種の活用も積極的に行なっていて、約30年前、飯綱町がシードル大国イギリスの英国王立園芸協会から寄贈された、酸味や香りに特徴のある海外品種をシードルに活用しています。多種多様なりんごの品種を組み合わせて作られたシードルは、りんごの名産地である飯綱町らしさがあると思っています。

シードルの作り方

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シードルの基本的な作り方は、
①収穫 → ②洗浄 → ③破砕・圧搾 → ④一次発酵 → ⑤瓶詰め → ⑥二次発酵・熟成
となります。

①収穫
サンふじなどの甘みが強いりんご、ブラムリーなどの酸味が強いりんご、高坂りんごなどの渋みがあるりんごなど、さまざまな味・香りのりんごを組み合わせることで、味に深みが出ます。

②洗浄
りんごをきれいに洗って、付着している汚れを取り除きます。

③破砕・圧搾
果汁が出やすいように細かくして、機械でプレスして果汁を絞ります。

④一次発酵
タンクに絞った果汁と酵母を入れて発酵させます。発酵が進むと、糖分が炭酸になり、シュワシュワと泡が出てきます。

⑤瓶詰め
発酵が終わった後に、濾過をして(しない製品もあります)瓶詰めします。

⑥二次発酵・熟成
瓶の中でさらに発酵させます。熟成が終わったら、検品を行いラベル貼りをして完成です。