STUDY
りんごについて学ぶ

りんごの歴史

私たちの身近な食材である「りんご」ですが、りんごの歴史についてどれだけご存知でしょうか?
りんごとは何者なのか?を知る、知らないでは、栽培の時にも思い入れなどが少し変わってくるかと思います。 栽培を学ぶ前に、意外と知られていないりんごの歴史についてお話ししたいと思います。

りんごは人類の歴史とともにあった

history-01.jpg

りんごの生まれたところ

人類が食用としているリンゴは、マルス・ドメスティカ(Malus domestica)という学名で、栽培リンゴという意味です。
起源地については諸説ありますが、イギリスのオックスフォード大学の調査隊が、カザフスタンと中国国境の天山山脈地域で、1997年から調査した結果、マルス・ドメスティカのDNAの一部が酷似した種類の祖先種マルス・シーベルシー(Malus sieversii)を発見し、その発見地を起源地と推定しています。
そして、人や、鳥などの動物によって、どんどんと世界へ広がっていきました。

起源地からヨーロッパへ

人の移動や、動物の移動などで伝播したりんごは、6〜7世紀頃にヨーロッパで品種改良が行われ、多くの品種が生まれました。
なんと、りんごはヨーロッパで最も古い栽培の歴史を持つ果樹といわれています。
13世紀のイギリスでは、りんごの栽培が熱心に行われました。イギリスで最初に名のついた品種は「Old English Pearmain」となっています。
17世紀頃になると、新大陸アメリカの他に、イギリス、フランス、オランダ、ドイツなどからの人々が自分たちの祖国からさまざまなりんごの種を持ち込んだものが根付いて、アメリカ生まれの品種が続々と誕生しました。
アメリカのリンゴ栽培のもとになった品種は、ヨーロッパからの移民によってもたらされたものです。

大陸をめぐって日本に

ギリシャ時代には、すでにりんごの野生種と栽培種を区別し、接ぎ木で繁殖させる方法が書かれた資料が存在しています。また、ローマ時代にもなると、りんごの品種が載った本が出版されるなど、りんごは庶民の身近な食材となりました。
ヨーロッパからアメリカへ伝わり、そして日本へりんごがやってきたのは、明治4,5年頃といわれています。日本の西洋りんごの歴史は、150年程になります。
では、150年より前には、日本人はりんごというものを知らなかったのか?というとそうではなく、平安〜奈良時代にもりんごと呼ばれるものは存在していました。
それは、マルス・アシアティカという学名の、現在の一般的なりんごより一回り以上小さいサイズのりんごで、アジアから伝わってきたとされています。150年より前の時代では、和りんごと呼ばれるこちらのりんごが親しまれてきました。
現在、私たちがよく目にするりんごとは、ヨーロッパより伝わった西洋りんごを指します。つまり、日本では2つの経路で、西洋りんご・和りんごの2つの品種に出会ったということができます。

日本に導入された「西洋りんご」

history-03.jpg

西洋りんご150年の歴史

1871年(明治4)になると、殖産興業といわれる政策を政府が行い、欧米のさまざまな文化、産業、技術などを導入していきます。その際に、北海道開拓使がアメリカやヨーロッパから西洋りんごを75品種輸入しました。りんごの他にも、梨やブドウなどもこの時期に日本へ入ってきています。
今までは、勝手に木になっているりんごを摘んで食べるというものでしたが、この時期を境に、りんごは経済的な視点からも考えられるようになりました。
北海道や東北などの冷涼な地域で、冷害で米が実らない年でも実をつけるりんごが、重要な果樹として認知されるようになります。

長野県での西洋りんご栽培

飯綱町がある長野県では、明治7年にりんごの苗が配布され、明治中頃から長野市長沼・赤沼地区や千曲市などの、北信州を中心に次第に栽培が広がりました。
長野県は、大正末期から昭和の戦前にかけて、養蚕業がとても盛んで、一面に桑畑が広がり、蚕糸王国と呼ばれていました。しかし、世界大恐慌により養蚕業が衰退して桑畑が不要になってしまいます。そこで目をつけたのがりんごの栽培でした。
農地開放と機械化が進み、桑畑からりんご畑へ、果樹栽培への切り替えが徐々に進んでいきました。そいういった歴史により、長野県は現在全国2位のりんご生産量となっていきました。

全国のりんご生産量

平成30年度の農林水産省統計によると、全国都道府県別りんご生産量は以下のようになっています。
1位 青森県(409,800t)
2位 長野県(127,600t)
3位 岩手県(45,900t)
4位 山形県(40,500t)
5位 福島県(23,200t)
長野県飯綱町の人口は11,063人(※平成28年調べ)、町内世帯数の37%が農家で、飯綱町のりんご生産量は、全国では22位、長野県では7位となっています。