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講師の声
りんご学校を通じた「いろいろな出会い」が楽しみです
飯綱町ふるさと振興公社 上野紀江さん
飯綱町ふるさと振興公社の農業部門で働く上野紀江さん。りんご学校ではメインの講師として受講生にりんご栽培のノウハウを教えるほか、受講生が来られない間の圃場の管理も担っています。りんご栽培に関わり始めたのは10年程前。結婚を機に長野県に移住し、りんご栽培の面白さに触れ、農業の道に入りました。2015年、夫の実家がある飯綱町に移住。移住後2年目に始まったのがりんご学校でした。りんご学校を通して「いろいろな出会いを楽しみにしています」と話します。
——りんご学校に初年度から関わっていますが、どう感じていますか?
りんご学校が始まった初年度(2017年)から東京の築地会場と飯綱町のりんご圃場で、皆さんにお会いし、一緒に過ごしてきました。私自身も飯綱町に来て2年目でしたので、りんご学校の受講生の皆さんに近い感覚だったように思います。はじめは、飯綱町のPR活動だと思っていましたが、りんごを介して、様々な方と交流できることは刺激的で楽しく、一緒に勉強している感覚で参加させて頂いてます。
私自身、専業農家出身でないことが、りんご栽培に対する弱みである一方、消費者目線や、新しい視点で考えることができる強みにもなっていると思っています。
ふるさと振興公社の一部のりんご畑で、減農薬栽培を進めています。自然環境が相手ですから、難しい面もありますが、できるだけ安心安全なりんごをお届けしたいと考えています。りんご学校の皆さんから、減農薬栽培への取り組みを聞かれることが多々あり、りんご学校の受講生の方々もやはり低農薬のりんごを望んでいるんだなと思いました。りんご学校を通して減農薬栽培の取り組みも一緒にできれば嬉しいです。
りんご学校の現地研修でレクチャーをする上野さん
——りんご学校だからできること、楽しさは何だと思いますか?
やってみたい企画を考えてみました!
りんごと言えば『食』ですが、実は私は料理が苦手です。そこで皆さんの『Best of りんごデザート』を持ち寄って、交流会を開くなんてどうでしょう。私は食べる方専門で参加します!
ちなみに、私が今、興味を持っているりんごは、「グラニースミス」を代表とする海外品種です。グラニースミス、ブレンハイムオレンジなどは、生食だけでなく加工用としての応用範囲が広そうで、未知な分だけ面白みを感じています。ぜひ海外品種を使った最高のりんごデザートを私に食べさせて下さい!
話題は変わりますが、私は兵庫県の出身で関西に多くの友人がいます。その友人の一人が「フードドライブ」(家庭などで余剰の食べ物を持ち寄り、フードバンクなどを通じて、必要としている方に寄付する活動)に取り組んでいます。そこで、りんご学校の企画として、その取り組みに参加できたら素敵だな、と思っています。
例えば、りんご学校の圃場で受講者の皆さんが収穫したりんごの中から、加工用にしかならない品質のりんごを寄付していただき、ジュース等に加工した上で、無償で送り届けるというようなものです。
りんご学校は、主に首都圏からの参加者が多いですが、このような活動ができれば、全国のいろいろな地域の人ともつながることができるのではないかと思います。りんごを通じて、助け合いや新たな人とのつながりができれば、すてきなことだと思います。
2019年の様子。受講生がりんご学校圃場に集まって作業
——りんご栽培の難しさを教えてください。
ふるさと振興公社では、りんご農家から圃場を借り受けて、引き継ぐこともあります。その時点で、老木であったり作業効率が悪い樹形になっていたりすることもあり、収穫量を確保することや良い樹形に矯正することはすごく難しいです。皆さんに担当していただいているりんごの木の中にも同じような悩みを抱えている木があります。もしかすると、最初は何も感じないかも知れませんが、知れば知るほどその悩みに気付かされるのではないでしょうか。
りんごの品質を向上させるために有機肥料に変更したり、間伐して陽当たりを改善したり、日々努力を続けています。りんごの木も生き物ですから、思い通りにはいきませんが、その理由を考える面白みも感じます。りんご栽培歴10年の新人ですが、毎年、りんごから何か教えてもらっている気がします。皆さんもりんごの木と会話しながら作業してみてくださいね。食べるのがもったいないりんごが出来るかも!