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ホーム読むDual life尾崎えり子さんの記事移住や人口増加に躍起になるのではなく、町の人やモノの活性にエネルギーを注ぐ
移住や人口増加に躍起になるのではなく、町の人やモノの活性にエネルギーを注ぐ

飯綱町 渋澤陽一さんに、プロジェクトの目的・想いをお聞きしました。

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ーなぜ今回Tristと一緒にプロジェクトをしようと思ったのでしょうか?

そもそものお話からさせていただきます。

基本的には人口の問題。地方創生です。「都会から人口の流れを作って、地方の人口を増やしましょう。」という話ですが、そう簡単に人口が増えるわけないと思っています。日本全体として減っていくわけですから、物理的な問題として中短期的には絶対に増えない。

移住者を増やすのはハードルが高い。そもそも移住は個人の人生の選択の話だから、そこに町が躍起になるのも違うかなと思っていました。
特に飯綱町は若者の人口流出が多かったり、子育て世代が中心となる、生産人口の15歳から45歳の女性の数が県内でも少ないんです。これが町の活力の低下を生んでいる問題だと考えています。
若者たちが魅力を感じていない地域なんだろうな、と。

そのような状況の中で小学校の統合があり、廃校を活用して活性化させていきたいというプロジェクトが立ち上がりました。
若者や女性に魅力を感じてもらえるようにしたい。飯綱町の課題の解決をしていきたい。
廃校を活かして、そういうまちづくり、拠点づくりをしていきたいと思いました。

特に飯綱町は総合計画に「日本一女性が住みたくなる町」を掲げていますので、女性の皆さんが魅力を感じるような町にするために何かをやりたかったんです。
都市に住む女性が飯綱で暮らしてみる。働いてみる。
一歩一歩、ゆっくり関係を作っていきながら、その結果として関わりが深くなってもらえば、将来的には定住につながっていくかもしれない。移住はしなくても、関係性の中で新しい経済が回れば、この地域に魅力を感じて若者が出ていかなくなるかもしれない。地域のみなさんの意識も変わり、元気な町になってくると考えています。

自分達の町の足元を見直して幸福感や誇りを感じてもらうために、今回は外から「良い刺激」を持ってきてくれるTristと一緒に何かをしたいと思いました。
Tristは「自立を促し成長しあえる緩いコミュニティ」だというところが一番しっくり来ています。

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資源は十分にあるから、自立して自分の価値を発揮できる人を増やしていきたい。

ー関係性の中で経済が回るようになるというのが大きな目的なんですね。

 そうですね。ビジネスの手法を色々な場面で活用できていないと感じています。

人が来ると、大盤振る舞いでプレゼントしてしまうし、資源を持っているのに、活かせず捨ててしまうこともある。うまく経済性が発揮できないんです。飯綱町はシニア世代も活躍しているんですよ。直売所やレストランを自分でオープンしたり、商品開発もやっています。それなりのクオリティで作っているのにお金にかえられない。欲がないのか、手法を知らないのか、アドバイスができる人がいないのか。自立して自分の価値を発揮していかないと、行政に依存せざるを得なくなりますから。「飯綱町でもこれをこうすればこれくらい稼げる!」というのを意識の中に持ってもらいたい。安く売っていたもの、あげていたもの、捨てていたものでも地域の経済にも寄与するんだよ、と。

特に食や農産物の分野は昔から女性のグループが何十年もやってきていること。食べ物に対して誇りを持っている。例えばキュウリやトマト一つとっても、全然他の場所の味と違う。うまいと思いますよ。ただの田舎の味。おばあちゃんの味というだけでなく。もっと世に出して、愛されるものになるはずなんです。
自立して、ビジネスができる人になってほしい。
若い人たちにもそういう意識をもっていてほしい。それをサポートできる行政でありたいと考えています。

地域にビジネス性を生み出すと言っても、小さい種をビジネスにしていく機能を持ちたいとうイメージです。小さな成功がもう少し目に見えてでてきたら、変わってくるんじゃないかと思うから。
行政としてもこれから何か始めたいというやる気がある人を支援していきたい。
そして飯綱町で活躍する人たちを知ってもらい、飯綱町って面白いと思ってもらえたらうれしいです。

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体験したのはこの方たち!

尾崎えり子さん
(株)新閃力代表取締役社長。
地域に密着した学童や創業スクール、サテライトオフィスを展開。
香川県出身。息子(8歳)と娘(6歳)の2人の子育て中。
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