読む

ホーム読む移住者インタビュー河唯貴さん「女性の単身移住にシェアハウスという選択肢」
河唯貴さん「女性の単身移住にシェアハウスという選択肢」

田舎暮らし+バーチャルオフィス+テレワーク+シェアハウス、という時代の最先端の暮らしを始めた女性がいます。河  唯貴(かわ ゆいき)さん(30)です。
東京から、飯綱町袖之山地区にある「のらのらCafé & Farm Stay」内のシェアハウスに2021年10月に移住しました。

01.JPG

河さんは東京生まれ横浜育ち。湖のほとりのパンカフェが舞台の映画「しあわせのパン」を観て以来、映画のような自然が美しい田舎で暮らしてみたい、そして、地域の人や旅人のハブになるような本屋さんをやりたい、という田舎暮らしへの憧れを漠然と持っていたそうです。

大学卒業後は、IT系企業や雑誌の編集の仕事をしていましたが、現在のバーチャルオフィスを運営する会社に勤めるようになり、「パソコン一つでできる仕事なので、この仕事なら田舎暮らしができるかもしれない」と頭をよぎり始めたと河さん。そんなとき飛び込んできたのが「のらのらシェアハウス住人募集」の情報でした。「これだ!」と感じた河さんは、すぐにのらのらのオーナーに連絡を取ったのだそう。ネットさえあればどこにいても仕事ができるので、同僚も全国各地に住んでいるのだとか。そんな働き方が当たり前になっているんですね。
「本格移住の前の9月に、1週間のお試し移住をしたんです。今まで通り仕事ができるか、特にネット環境が不安でしたが、まったく問題なかったのでここでなら生活できると思いました」(河さん)
この間、たったの数週間。情報をもらってから移住まで、わずか2か月というスピード移住でした。

02.JPG
古民家カフェ のらのら内のシェアハウス「のらのら荘」

シェアハウスから車で3分ほどのところには廃校活用施設「いいづなコネクトWEST」があります。もちろんWi-Fi環境も整備されています。コワーキングスペースもあるのですが、施設内にある、とちのき食堂の中庭に面したデッキでは、お天気がいいと青空Zoomでテレワークしている人もいるそうです。
「遮音の問題もありますが、たまには場所を変えていいコネWESTで仕事をしてみたいなと思っています」

03.JPG
バーチャルオフィスはまるでゲームの世界!?

河さんの仕事であるバーチャルオフィスとは、その名の通り、ウェブサイト上のバーチャル空間にあるオフィスのこと。バーチャルオフィス内で自分のアイコンを自由に動かして同僚に話しかけたり、会話に参加したりすることができるシステムです。ウェブ会議用のアプリケーションとは違い雑談もできるのが特徴で、リアルなオフィスにいるのと同じような感覚で過ごせるので、テレワークでのコミュニケーション不足解消になると注目されています。
「バーチャルオフィスを有効に使っていただくためのサポートをする、カスタマーサクセスが私の業務です。平日は9時から18時までパソコンに向き合って部屋にこもっています。仕事中はお客様へのご案内でしゃべりっぱなしです。いろいろな方と関わるので、ヤギのりんちゃんとのんびり過ごす時間は心が安らぎます」

04.JPG
大好きなりんちゃんと(残念ながらりんちゃんは急逝しました)

りんちゃんとは、のらのらカフェでかわいがられているヤギのこと。シェアハウスの玄関先には、りんちゃんの小屋があります。
りんちゃんと戯れているときや、地元で採れた美味しい野菜を食べているときに、「これがやりたくて田舎に来たんだ」としみじみと感じるそうです。

05.JPG

さて、もう一つ気になるのは、シェアハウスという暮らし方です。河さんは東京でもシェアハウスに住んでいました。
「以前住んでいたところは女性専用で、入居者は5人。2~3年住みましたね。居心地は良かったけれど、住人とは顔を合わせればあいさつする程度でした」
しかし、のらのらシェアハウスは「おもしろい人が来ているから一緒にご飯どう?」とオーナーが誘ってくれたり、住人同士が料理をおすそ分けしあったりと、関わりが多くてとても楽しいと河さん。
むき出しのOSB合板を使った壁が特徴的なシェアハウスは、1階がLDKになっていてお風呂やトイレの水回りが、2階には個室が3部屋あります。

06.JPG07.JPG08.JPG

現在の住人は男性2人と河さん。キッチンには単身用の冷蔵庫が3つあり、3人が自分専用に使えるのだそう。置いてある鍋類は、各人が持ち込んだもの。ダッチオーブンなど、調理器具にそれぞれのこだわりを感じます。

09.JPG10.JPG

こちらのシェアハウスは入居期間が1年までと決まっており、入居者の入れ替わりが早いのだとか。
「前はギタリストの方が住んでいて、よく土蔵からギターの素敵な音が聞こえていました。その方の後に入居したのは、地域おこし協力隊の方。昨日は住人3人で一緒に鍋を食べました。3人とも料理をするので、今後はキッチンを使う時間をずらすなど工夫しようかなと話しました」と河さん。
一人で移住すると、知り合いをつくるところから始めるのはハードルが高くなりますが、シェアハウスなら相談できる人が近くにいて心強いですね。大きな覚悟がいらない、お試し感覚の移住も手軽になってきました。

11.JPG12.JPG

田舎暮らしといえば、車は必須。飯綱町でも車は必需品です。しかし河さんは、車も、なんと運転免許さえ持っていません。
「食事は菜食中心で買い物にもあまり出かけません。いいづなマルシェ「むーちゃん」まで歩いて1時間ほどで行けましたよ」
とは言うものの、「この冬は教習所に通う予定」なのだとか。

横浜の実家には月に1度のペースで帰省しているという河さん。
「実家に帰るときは、高速バスを使うことが多いです。長野―東京間が片道2,000円ほどなので、安くて便利ですね。交通費が安いと、実家との心理的距離がぐっと近くなります。もちろん、新幹線を使えば長野-東京間が片道1時間30分と移動時間も少ないですし。いつでも帰れる安心感があるのも、移住先を飯綱町に決めた理由の一つです」
また、オーナーが東京と飯綱町の二拠点暮らしのため、タイミングが合えば一緒に車に乗せてくれるのだそう。そんな恵まれた環境も、女性の単身移住には心強いですね。

13.JPG14.JPG15.JPG

始まったばかりの田舎暮らしにわくわくしている河さんには、やりたいことがたくさんあります。
「学生時代は乗馬サークルに入っていたんですが、飯綱高原に乗馬クラブがあると聞いたので行ってみたいです。あと、飯縄山にも登ってみたいです。スキー、スノーボードにも行きたい。畑にも挑戦してみたいです!」
そして、語ってくれたのが、ずっと叶えたいと思っている「本屋さんを開きたい」という夢のこと。
「学生時代にBRUTUSという雑誌に出会って、こんなにかっこよくておしゃれな雑誌があるんだって衝撃を受けたんです。作る側にまわってみたくて編集の仕事もしました。いつか田舎で本屋さんができたら、自分の好きな本や雑誌を並べて、たくさんの人に本を通じて知らない世界を知ってもらいたいんです」
飯綱町のコミュニティスペース「ZQ(ずく)」には、本好きの人がおすすめの本を並べている「Book Apartments(ブックアパートメント)」という本棚があり、それぞれ紹介者の個性が出ています。河さんのやりたい本屋さんも、まさにそんなイメージなのだそうです。
「地域の人と関われるきっかけになるような、そんな場所にできたらいいなと思っています」

16.JPG

カテゴリー

先頭に戻る