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入口慎平さん・梓さん「困難を極めた家探しも落ち着き、楽しむのはこれから!」

フレンドリーで優しそうな笑顔の入口慎平さん(39)は、2020年、町内の(株)ツチクラ住建(※1)に転職。現在、別荘管理や企画の仕事をしています。

落ち着いた穏やかな雰囲気の妻、梓さん(39)は、ライター、編集者、そして本屋さんとして活躍しています。

新幹線や乗り物が大好きで、ちょっぴり恥ずかしがり屋の長男、新(あらた)くん(3)との3人暮らしをしているという入口さんファミリーを尋ねて、車通りから1本入った、八蛇川のせせらぎが爽やかに聞こえるお家におじゃましました。

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初めて飯綱町を訪れたときの感想は、ご夫婦で真逆だったそうです。
長野市内から峠道を上り、坂中トンネルを越えた先が飯綱町。目の前に開ける田舎の景色の美しさに「うわー」っとテンションが上がったという慎平さん。

一方、梓さんは、天気が悪かったことも手伝って、「えも言われぬ不安に襲われた」とのこと。さて、どちらの直感が合っていたのでしょうか?

そもそも飯綱町への移住のきっかけは 慎平さんの転職でした。

大阪の街中で育った慎平さんは、本人曰く、「どこでも生きていけるタイプ」。
大学を卒業し、東京でアパレル系のお仕事を12年間勤め上げたのち、業界の裏も表も知って一生の仕事ではないと転職を決断。キャンプなどのアウトドア関係の会社に入社し、夫婦で軽井沢に移住しました。その後、将来的には奥さまの梓さんの本の仕事と一緒にお店ができたらと、パン職人を目指します。しかし、あまりに過酷な環境だったため、体調を崩してしまったのだそうです。

もう一度、自分がやりたいこと・できることは何かと職を探していたところ、見つけたのが、飯綱町のまちづくり会社「株式会社カンマッセいいづな」(※2)の求人だったといいます。

アパレル時代からやってきた、得意分野である企画の仕事がしたかった慎平さんですが、「すったもんだがありまして(笑)、カンマッセの社長がツチクラ住建の社長でもあることから、気が付けばツチクラ住建に採用されていました」。

住宅業界という、何もかも初めての仕事に飛び込んだ慎平さんですが、「けっこう楽しくやってます。初めての業界で勉強することだらけです」と前向きに受け止めています。

「別荘管理では除雪や屋根の雪下ろし、空き家活用では古い家屋の片付けも仕事の内なので、大変なこともありますが、やりたかった企画に近い仕事もやらせてもらっているんですよ」。

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牟礼駅前の丸為旅館が、全国住み放題サービス「ADDress」と提携したプロジェクト(※3)は、慎平さんも企画に携わったのだそうです。いろいろな業界を経験しているからこそ生まれたアイデアですね。

「人が生活する上で必要な、衣食住すべての会社で働いたことのある人ってなかなかいないと思いませんか?」と梓さん。たしかに、アパレル・パン・住宅と、生活に密着したお仕事を経験しているのは、慎平さんの強み。まさに、「どこででも生きていけるタイプ」。なんとも頼もしいですね。

一方、梓さんは、慎平さんが軽井沢の仕事に就いたことがきっかけとなり、北軽井沢ルオムの森の洋館に「おむすびブックス」(※4)というセレクト書店をオープンします。同じく編集・ライターの女性とともに、それぞれがセレクトした、こだわりの本が並ぶ本屋さんです。飯綱町へ移住した今も、2か月に1回ほど、本の入れ替えをしに通っているそうです。

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飯綱町では、赤塩地区にある、天然酵母パンとお惣菜のお店「れうりや」(※5)さんに、おむすびブックスの本棚を置かせてもらっています。また、昨年開催された「いいコネまつり」のような、イベントにも出店しているそうです。

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さて、お住まいは借家ということですが、家について話を聞くと、「家探しは本当に大変だったんですよ!」

いったい何があったのでしょう。

就職が決まりそうということになり、夏の終わりごろから町を訪れるたびに空き物件を見て回っていた入口さんご一家。しかし、いい物件は埋まってしまっていて、なかなか見つかりませんでした。

「最初に紹介されたのは、山の上の別荘地エリアでした。素敵な家でしたが、山道や雪道の運転に慣れていないので、ここに暮らすのは現実的ではないかなあと。息子が病気にかかったときなど、自分ひとりで病院まで連れて行けるかどうか、という視点で検討しました」(梓さん)

来春から新くんが通う保育園に手続きをするためにも、早く家を決めたいという焦りもつのります。その後もまったく情報がなく、一時は、慎平さんは飯綱で単身赴任、梓さんと新くんは以前住んでいた上田と、離れて暮らすしかありませんでした。そんなとき、ツチクラ住建の社長から物件を紹介され、もうここしかない! と、即決したのが現在の家です。

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やっとのことで見つけた住まいでしたが、引っ越しが決まったのは年の瀬も押し迫る12月下旬。
「今でも忘れられないのですが、積雪のため引っ越しのトラックが、家の前の狭い道でスタックしてしまったんです。荷物に囲まれたまま、これからどうなるのだろうと不安でいっぱいになりました。環境は変わっても自分の仕事は続いているので、締め切りに影響がでないように調整するのが大変でした。どんな風に過ごしたのかすら記憶にありません」(梓さん)

これが、梓さんの感じた「えも言われぬ不安」だったのかもしれませんね。飯綱町は物件情報が少なく、大変な思いをされてしまいました。いいお家が見つかって、本当に良かったです。

お互いを尊敬しあっていて、仲の良い入口夫妻ですが、お二人は大学の同級生。苗字が「入口」と「梅田(梓さんの旧姓)」なので、席が近かったことが馴れ初めだそうで、7年間もの遠距離恋愛を経て結婚したそうです。

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「今は、僕の仕事の時間が長いので、どうしても保育園の送迎や帰宅後の子どもの世話を妻に任せっきりになっていて。妻はもっと仕事に集中する時間が欲しいと思っているのがわかるので、できる範囲で働き方も見直して、家事育児の分担も変えていきたいと思っています」(慎平さん)

「男性だからこうしなければならない」「家事は女性の仕事」という昔ながらの価値観に縛られず、フェアであることを大切にしたいと言います。

「例えば、女性がお茶汲みをするといった慣習がまだ残っていますが、少しずつ変わっていったらいいですよね」

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飯綱町に来て良かったことをうかがうと、たくさんの人に出会える機会があること、と梓さん。

「初めて来たときは不安もありましたが、うれしい驚きもあったんです。飯綱町ワークセンターiwork(※6)のセミナーのチラシを目にしたのですが、さまざまな勉強会やイベントをやっていて、おもしろいことをやっている町だなってわくわくしました。実際に、移住者交流会をはじめ、こちらでは人と知り合う機会が多くて楽しいですね」

移住定住応援家賃助成金のほか、町には子育ての補助や助成が充実していて助かっていると梓さん。しかし、必要な人に必要な支援が行き届いているのだろうかと思うこともあるといいます。

「私が見ているのはこの町のごく狭い範囲ですが、家族ありきというか、女性なら結婚・出産が前提という価値観になっていないかな、と思ったり。いろんな生き方が多様にあって、どんな人でも居心地よく住み続けられるような町であったらいいですね」

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ドタバタの移住から1年。ようやく暮らしも落ち着いて、アウトドア好きの慎平さんの頭の中には、やりたい企画が渦巻いてきている様子です。

「信越トレイルや、あまとみトレイルのような、近くに山歩きのできるロングトレイルがあって、飯綱町はどこからもアクセスができるちょうどいい位置なんですよ。飯綱町でトレイルに絡めたおもしろい企画ができるのではと考えています。今後は、この街での暮らしが楽しくなるような企画にも関われるといいな」

お二人の活躍に期待していますね!

※1 (株)ツチクラ住建 https://tsuchikura.com/
※2 (株)カンマッセいいづな https://canmasse.co.jp/
※3 丸為旅館 https://iizuna.jp/docs/6122.html
※4 おむすびブックス http://omusubi-books.com/
※5 天然酵母パンとお惣菜のお店「れうりや」 https://iizuna.jp/docs/4096.html
※6 iwork https://iizuna-workcenter.jp/

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