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ホーム読む移住者インタビュー宗像大樹さん・友紀さん「移住するなら農業がやりたいと飛び込みました」
宗像大樹さん・友紀さん「移住するなら農業がやりたいと飛び込みました」

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「流れるように、すぅっとここにたどり着きました」

そう話してくださったのは、宗像大樹(ひろき)さん(42)と、妻の友紀(ゆき)さん(42)。

宗像さんご夫妻は2018年、当時4歳の春樹くん(8)と0歳の佑樹くん(4)と、埼玉県から飯綱町に移住しました。現在は、飯綱町にきてから生まれた映樹くん(1)も加わって5人家族。一家が住むのは、赤塩地区に建つ新規就農者向け住宅です。

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前職は帰宅時間が遅いうえに転勤も多かった大樹さん。長男春樹くんが生まれたのに、一緒の時間がとれないことに加え、もともとアウトドアが好きで、いつかは自然があるところに暮らしたいと思っていたこともあり、本格的に移住を検討し始めます。転職して田舎に住むなら農業がやりたいと、都内の移住相談会や就農相談会を回り、情報を集めたそうです。

移住先は、「まったくの白紙だった」ということですが、お二人の実家がある神奈川県までアクセスがいい山梨県か長野県、農業なら野菜より果樹と決めて、最終的にはりんご栽培に興味を持つようになったことから、「長野県」「りんご」と絞り込んで探したといいます。

「東京で開催されていた移住相談会に足を運ぶと、飯綱町の担当の方がとても熱心でしたし、町の移住サイトやホームページ、Webマガジンを見て、移住者を受け入れる体制ができている町だと感じました」と友紀さん。また大樹さんは、「飯綱町には来たこともなかったし、名前も知らなかったけど、実際に来てみたら町並みがしっくりきた」と飯綱町への第一印象を語ってくれました。

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りんご栽培はもちろん、農業も初めてだったため、いきなり移住ではなく、まずは、就農体験をしてみてはと勧められ、季節ごとの農作業を体験できる「飯綱町ワーキングホリデー」という援農制度のひとつに参加しました。

「ちょうど夏の終わりに来たとき、お世話になっていた役場の方がお祭りに誘ってくださったんです。その方のお宅で獅子舞を見て、宴会の輪にも入れてくださって。よそ者の私たちを家に上げてふるまってくださるんだと、感動してしまいましたね」(友紀さん)

「ワーキングホリデーの受け入れ農家の方々もとても親切で、不安もなく、すっと入っていかれた感じです」(大樹さん)

新築されたばかりの新規就農者住宅にタイミングよく入居することもでき、来ることが決まっていたかのように自然と暮らし始めたそうです。のどかな赤塩地区の新規就農者住宅は、2LDKの平屋建てで日当たりもよく、小さなお子さんたちと暮らすのにぴったり。選果(収穫物をいくつかの等級に分ける作業)も行えるガレージ付きです。

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飯綱町に移住してからは、ワーキングホリデーの受け入れ先のひとつだった山下フルーツ農園で2年間研修を受けました。

その後2021年に独立し、6反歩(1,800坪)のりんご畑を借り受け、ふじ、シナノスイートなど6品種のりんごを栽培しています。

「以前の仕事のときは、トラブルなどがあるとストレスを感じることもあったようで心配していましたが、今は、嫌なことが何もないと言っています。子どもたちとの時間も増えて、家のこともとてもよくやってくれます」とうれしそうな友紀さん。
「自然相手のほうが合っているのか、今はストレスを全然感じません。ただ、夏は思ったより暑いですね。ひとりでやっているので作業できる量には限りがありますが、美味しいりんごを丁寧に作っていきたいです」という大樹さん。新たに、ぐんま名月、シナノリップ、シナノドルチェの苗木を植え、年間を通して収穫できるようにしていきたいのだとか。

今でも勉強会に参加したり、情報交換をしたりと、研修先の農家にはお世話になっているそうです。

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一方、東京の住宅設備メーカーにお勤めの友紀さんは、長野支店への異動願が通り転勤することができました。当初は長野市内まで通勤していましたが、コロナ禍の現在は、在宅ワークをしています。

小さなお子さんがいて、仕事を続けながら移住するときの懸念のひとつに、保育園のことがあります。都会では待機児童がいるほど保育園に入るのは難しいと言われていますが、「役場に相談したら、年度途中でしたが調整しますといってもらえて、二人ともさみずっこ保育園に入ることができたんです。先生方もとてもニコニコと和やかで、いい環境だなあと思いました」

自宅からさみずっこ保育園までは約5㎞、車で約10分の距離。園バスに乗れるのは3歳児以上からなので、宗像さんは毎日車で送り迎えしているそうです。

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初めての田舎暮らしで、習慣の違いや車の運転、雪問題など、慣れるまでさまざまなことがありますが、一番印象的だったことをうかがうと、次のようなエピソードをお話ししてくださいました。

「大雪の日に車を運転していたのですが、雪の重みでワイパーが動かなくなり前が見えなくなってしまったんです。危うく側溝に落ちそうになっていたところ、たまたま通りがかった保育園の先生が、自分の車から、あの道具を出して助けてくれました」。
「あの道具」とは、柄の両端にそれぞれブラシとヘラが付いているスノーブラシのこと。車に積もった雪を払うための雪国ならではのカー用品です。雪の季節には、町内の人なら当然車に携帯していますが、雪のない地域で育った友紀さんは見たこともありませんでした。もちろんすぐに入手して、今では雪道も問題なく走っています。

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お話をうかがっていると、大樹さんと友紀さんは、家事育児をしっかり分担して共働しているご夫妻なのがわかります。「移住してから、夫が育児参加してくれる時間が増えました。三男はパパしか言わないほどなんですよ。家のこともよくやってくれて、私は昼食と夕食を作るくらいかも(笑)」と友紀さんは微笑みます。3人の子どもをお風呂に入れるのも大樹さんの役目だそうです。

そんな大樹さん、なんとお祭で獅子の頭に入って舞いを披露したそうです! 獅子を舞うのは難しそうですが、「必死で練習して覚えましたよ(笑)」。

昨年には、地域の配布物などを担当する伍長という役目も務めました。「子どもと一緒に配りものをしたので、近所の人の顔と名前が覚えられたし、覚えてもらえたし、やって良かったと思いました」(友紀さん)

大樹さんも「地域で暮らすのであれば、こうしたことも受け入れていきたいと思っていました」と何事にも前向き。移住前には、移住関連の書籍をいくつも読んで田舎暮らしのシミュレーションをしっかりとしてきたそうです。

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田舎暮らしを堪能しつつも、3人の子どもの親として、田舎に住むことのハードルも見据えています。

「都会に住んでいる友だちと話したとき、子どもの進学の話になったんです。自然いっぱいの環境には恵まれていますが、ここは、学校や塾の選択肢が都会のようには多くはありません。子どもには教育環境のハードルを少しでも取り除いていかれたらと思っています」。

町内には中学校が1校、高校が1校ありますが、特に高校は、長野市などの近隣の市へ、電車で通っている子も多くいます。町では高校生に、通学定期券購入費を補助(電車:20%、バス:50%)していますが、駅まで遠い家庭の場合は、親が駅まで送迎しているケースが多いのが現状です。

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「新規就農者向け住宅は、借りられるのが最長で8年。次の住まいを探すため、広く情報収集しています。」(大樹さん)。

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集落の中にある家の周りは田んぼと野原が広がり、やんちゃ盛りの子どもたちには最高のロケーションです「ここに来てすぐ、長男が、カネチョロ(長野の方言でカナヘビのこと)とオニヤンマを捕まえてとてもうれしそうで。移住して良かったなと思っています」(友紀さん)

都会のよさ、田舎のよさはそれぞれですが、親子が触れ合う時間は何物にも代えがたい大切なとき。いいづな暮らしをご家族そろって満喫してほしいですね。

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