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佐竹淳史さん「人柄の温かさが魅力のまちで働きたい」

今回ご紹介する佐竹淳史さん(27)は、株式会社ツチクラ住建の設計担当。入社3年目の若手のホープです。金沢工業大学で建築を学び、研究室のプロジェクトをきっかけに、飯綱町に移住しました。

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「庇が大きくて半屋外スペースがあるような、コンパクトな家が好きです」

そう話す佐竹さんは、新潟県阿賀野市出身。高校時代は造園コースでガーデニングを専攻し、「庭も住宅のひとつ」と学んだことから住宅に興味を持ち、金沢工業大学では建築デザイン学科に進学、大学院の修士課程を修了しました。

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金沢工業大学と飯綱町の出会いは、2018年に立ち上がった「千葉工業大学×金沢工業大学 いいづな町・地域再生プロジェクト」。千葉工業大学と金沢工業大学、そして金沢R不動産が協働し、飯綱町の地域再生のため、約2年間にわたって学生たちによるまちづくり活動が展開されました。そこに参加していたのが、佐竹さんが所属する金沢工業大学の宮下研究室でした。

「廃校活用のアイデア出しやツリーハウス作りなど、いろんな活動をしましたね。なかでも、印象に残っているのは「IEMP(イエップ)」(家IE+CAMP)です」

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IEMPとは、建物の中に住むという家の既成概念を取り払い、建物の内も外も自然と一体になって楽しんでしまおうという考え方のもと、学生たちのさまざまなアイデアを加えながら、実験と実践を行っている取り組みです。飯綱町の工務店である株式会社ツチクラ住建が、所有する古いペンションの建物を提供してくれました。学生たちはここに通ってアイデアをカタチにしています。

「IEMPをきっかけに、大学のOBも活動に参加してくれるようになったんです。それも、うれしかったですね」

建物の上に単管パイプを使ってテントを建てミニシアターにしたり、庭の木にツリーハウスをつくったりしたのが、とても思い出深いそうです。IEMPの取り組みは、後輩たちに引き継がれており、今もツチクラ住建、研究室OBとともに進化し続けています。

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「飯綱町で出会った人は、皆さん本当に親切にしてくれたんですよ。​のらのらCafe &Farmさんでツリーハウスを作ったときは、自分たちに『のらのらっ子』という名前をつけて通ったのですが、オーナーさんがとても歓迎してくださって、いつも美味しいものをふるまってくれるなど面倒をみてくれました」

「どんど焼きがあるからおいでよ」とお誘いがあれば、「じゃあ行きます!」と即答して、金沢から日帰りで遊びに来たり、地域の人たちとの交流も楽しんでいたそうです。「明日行っていいですか?といった具合で、本当に楽しく通いましたね」。

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大学院を卒業後、佐竹さんが就職先に選んだのは、IEMPでお世話になった株式会社ツチクラ住建でした。同期の2人は東京に就職しましたが、「正直、迷ったこともありましたが、やっぱり自然のある落ち着いた環境の方が、僕には合っているんです。フィーリングとしか言いようがないというか。ビビビときたとかそんなんじゃなく、飯綱町で生活したいと思ったんですよね」

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入社したツチクラ住建についてうかがうと、「ツチクラは高気密高断熱をうたう住宅メーカーです……それはもちろんなのですが、なによりもスタッフとお客さま、人と人とのつながりを大事にしています。家を建てて終わりでなく、建てたあとのアフターメンテナンスはずっと丁寧に対応しますし、大工さんたちもフレンドリー。人の魅力が売りの会社です」

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就職後は、会社が借り上げてくれた職場近くの5LDKの民家に友人と住んでいます。築50年ほどの家なので高気密高断熱とはいかず、「廊下まで結露が凍る状態だった」と笑う佐竹さん。DIYで壁と床に断熱材を入れるなど、少しずつ手を入れているそうですが、完成までには「まだ5割程度」とのこと。休日はとても充実していて、家を直す時間がないそうです。

「昨晩は町内の友人宅に招かれて健康マージャンしてました(笑)。今日の午前中は赤倉でゴルフをしてきたんです」

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就職後に会社の先輩に誘われて始めたというゴルフと町内のさまざまな年齢層の人たちと一緒にやっているソフトバレー、それと小学2年生から高校卒業まで続けていた野球も再開させました。

「野球は好きで、またやりたいなあと思って。長野市のチームを探して入会したんですけど、けっこうガチなんですよ」

休みの日もアクティブな佐竹さんは、地域の活動にも意欲的に参加しています。道普請(みちぶしん:自分たちが暮らす地区の草刈りや清掃のこと)への参加や消防団への入団のほか、地区のお祭りの獅子舞の団体にも入って横笛を練習中です。

「人の話を聞くのが好きなんです。今はコロナ禍で難しいですが、まちのいろいろな人と飲み会などでお話しできる機会が増えるといいなと思っています」

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佐竹さんの家の庭には、ツツジ、マユミ、モクレン、アヤメにシャクヤクと、いろとりどりの花が競うように咲いていました。しかし、庭の手入れをする時間はなかなかとれないそうで、「世話をして整えたいなとは思いつつ、庭の広さと植木の多さにお手上げです」と苦笑い。「住み始めた当初は畑もやってみたんですけどね。数年後に、また挑戦するかもしれません(笑)」。

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家をシェアしているとはいえ、男性のひとり暮らし。食事はどうしているのかうかがったところ、食材の買い物に行くのは、もっぱら車で3分の農産物直売所「横手直売所 四季菜」なのだとか。地元で採れた新鮮なりんごや桃などの果物や野菜、お米、季節の農作物がそろいます。「直売所には、その時期に採れる旬の物しか売られていません。つまり、旬のものしか食べられないということ。それこそが魅力です」

好きな食べ物は、タラの芽の天ぷら。こごみやぼたんこしょうも好物だとか。そばや野沢菜は、飯綱町に来てから食べるようになったそうです。ふだんは、「とにかくパッと作って食べられることが優先」と、旬の野菜と肉類に火を通してパスタにして食べていると佐竹さん。「全然料理と言えるようなものではありません(笑)」

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「なんといっても過去一番においしかったのは、飯縄山で食べた竹のこ汁です」

山とキャンプの達人に連れられて、根曲がり竹を採りながら飯縄山に登り、頂上でサバ缶とみそで調理して食べたのだとか。標高1917mの澄んだ空気と広い空の下で食べた竹のこ汁は、登山の疲れも吹き飛ばすおいしさだったと佐竹さん。それはもう間違いないですね。

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学生時代のプロジェクトをきっかけに、飯綱町の企業に就職、今では会社、ご近所、趣味の仲間と、さまざまなつながりを広げ、日々を謳歌する佐竹さん。そこには、人と人とのつながりを大切にしたいという想いが垣間見えます。

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