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ホーム読む移住者インタビュー仲俣茜さん「私の人生は飯綱町でおもしろくなるんじゃないかなって」
仲俣茜さん「私の人生は飯綱町でおもしろくなるんじゃないかなって」

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居間に飾られているのは、今年6月におこなったばかりの素敵な結婚式の写真。

仲俣茜さん(31)は、今年4月、結婚と同時に東京から飯綱町黒川地区に移住してきました。

茜さんが嫁いだご主人はご実家が米農家。町内でも美味しい米の生産者として知られ、学校給食やふるさと納税にも提供されています。

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茜さんを訪ねた日は、12月にしては暖かい小春日和だったので、刈り取られたあとの田んぼを眺めて散歩しながら、いろいろなお話をうかがいました。

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自宅からのんびり10分ほど歩いた大宮神社の参道の入り口には、一本の桜の木があります。樹齢350年以上と伝えられるエドヒガンの古木です。春には、背後の神社を守るかのように誇らしげに枝を広げます。

立札に「黒川 桜林のエドヒガン」と書かれていることから、昔は辺り一面が桜林だったようです。お花見をしながら眺める田んぼも、間違いなくすばらしい景色でしょう。

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茜さんは、「田んぼは青田のころの景色が一番好きです」と広大な田んぼを見渡しながら話してくれました。そんな茜さんが生まれ育ったのは、三重県津市です。津市は、2006年に10市町村が合併した歴史があります。「私が暮らしていたところは、津市と合併する前は村だったんです。どこか飯綱町と雰囲気も似ている気がします」。

英語とイタリア語が堪能な茜さんは、語学を生かした仕事がしたいと三重から東京の貿易会社に転職。そこで、ご主人の仲俣涼平さん(35)と出会いました。お付き合いを始めたころから、涼平さんがUターン就農することは承知していたそうです。「普通のサラリーマンより、全然おもしろそうだなと思いました。この人についていったら、私の人生もおもしろくなるんじゃないかと」。

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昼夜の気温差が大きい飯綱町はりんごの名産地として有名ですが、お米が美味しいことでも知られています。「なかまた農園」は、町のほぼ中央に位置する黒川地区で、約25ha(東京ドーム約5個分)の広さの圃場を稲作しています。飯縄山から流れ込むミネラル豊富な水で育てた米は、過去には皇室献上米に選ばれたこともあるのだとか。

「初めて彼の家に行ったとき、ご飯の美味しさにびっくりしたんです。水と土の恵みの味。きりっとした甘みで、耳の下がじわじわするような。“ほっぺたがおちる”ってこういうことだと思いました」

茜さんより1年早く、涼平さんは地元飯綱町に戻り就農。貿易商社マンから農業への転職となりましたが、「農業の仕事のスタイルが合っていると感じているみたいです」と茜さん。

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広い圃場での米作りは農業機械での作業がほとんどですが、人手が必要な作業もあります。茜さんも田植えのときは、育苗した苗箱をトラックから田んぼに運ぶ作業を手伝ったそうです。

「お米ができるまでに八十八もの手間がかかる」と、煩雑な作業と膨大な仕事量を表現する言葉がありますが、「八十八の一端を垣間見る経験でした」と振り返る茜さん。「軽トラの荷台に積んだ苗箱を、20人くらいでバケツリレーのように田んぼに運ぶんです。参加している皆さんが、指示されなくても手分けしてちょうどいい配置についていたり、大変な場所は声を掛け合って交代していたり、すばらしい連係プレーで感心してしまいました。初参加の私にも話しかけてくれて、アウェー感を感じることなく作業させてもらいました。なにしろ途方もない量の苗の移動にとても疲れました」

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お米の魅力にすっかり魅了された茜さん。実は移住前に「ごはんソムリエ」と「薬膳アドバイザー」の資格を取ったといいます。

移住しても仕事をしたいと思っていたところ、知り合いから「いいづなコネクトEAST」内の泉が丘喫茶室&泉が丘喫茶室OKAZUYAを紹介され、パートタイムで勤めています。お店のスタッフから「仲俣さんの美味しいお米でおにぎりをつくって出してみたら」とアドバイスされ、OKAZUYAでは、なかまた農園のお米で作ったおにぎりも販売するようになりました。

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「お米ってこんなに美味しいよ、こんなにすばらしいんだよっていうことを伝えたいです。もちろんお米だけにこだわるつもりはなくて。身土不二(『体と土とは一つである』とし、人間が足で歩ける身近なところで育ったものを食べ、生活するのがよいとする)という考え方があるように、お米と一緒に日本人にある感覚を大事にしていきたいです」

こう語る茜さんは、いつもの料理でも材料や調味料の割合を少しずつ変えて味の研究をするのが好きなのだとか。「今後は調理師の資格も取りたい」と、お米の活性化と、将来に向けた夢をふくらませています。

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お二人は、涼平さんのご実家から車で5分の場所にある古い一軒家に住んでいます。ちょうどいいタイミングで親戚の家が空いたところを買い受けたそうです。古さはあるものの各部屋はきれいに整えられていて、純和風を生かしてすっきりとお住まいです。部屋は9つもあり、使っていないところがほとんど。この空き部屋も、将来、農業体験の宿泊に使えるかもと、考えたりしています。

2階の部屋には、茜さんが趣味で弾くピアノが置いてあります。遠く志賀の山並みを眺めながら奏でる、牧歌的で穏やかな時間が茜さんのお気に入りだと話してくれました。一方、涼平さんの趣味はギター。都会では、隣近所への音が気になりますが、ここでは近所迷惑にならないので、思う存分に楽しめるそうです。

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日常の買い物は週に一度、若槻大通りを通って長野市内のスーパーまで行くそうです。「野菜はご近所からたくさんいただきます。こういうおすそ分けの文化があるのが、田舎のいいところですよね。車の運転は、ペーパードライバーでしたが少しずつ慣れました。雪道運転も慣れるしかないと覚悟を決めています」(茜さん)

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冬季湛水している有機栽培の田んぼ

ご近所を案内してくださりながら、「稲刈り前とか青田のころの景色を見せたかった」と残念がる茜さん。お義父さんに、夏は近所のホタルの名所に連れて行ってもらった話もしてくれました。「自然の光がゆらゆらと揺れ動く感じがとても素敵でした。お米にオリジナルのブランド名を付けるときは、ホタル米もいいな、なんて話してくれたんですよ」

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美しく広がる田んぼの景色の中で、飯綱町に来たからこそできること、やりたいことをやる。ご主人とともに選んだいいづな暮らしを、“人生がおもしろく”なるように、目一杯楽しんでください。

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