農地の利用権設定(農業経営基盤強化促進法)
農地を農地として貸し借りする場合、農地法第3条の規定により農業委員会の許可を受ける必要があります。しかし、この場合、貸した農地が戻ってこないのではないかという不安から農地の貸し手が消極的になってしまい、規模拡大を希望する意欲のある農家にとっては不利に働いてしまうことがありました。
そこで、効率的かつ安定的な農業経営を育成するという目的を実現するため、農業経営の規模拡大、生産方式・経営管理の合理化などを進めていく意欲のある農業経営者(認定農業者)を総合的に支援するために,平成5年に農業経営基盤強化促進法(以下、経基法)が制定されました。
この法令に基づき、農地の利用権設定をすることにより、農地法の許可を受けずに農地の貸借契約が可能となります。また、これにより契約した農地は期間が到来すると貸し手に農地が返還されることとなっていますので、貸し手にとっても安心して契約することができるようになりました。
ここでは、農業経営基盤強化促進法に基づいた利用権設定に係る申し出について解説します。
1.利用権設定にあたって
農地の利用権設定にあたり、次のような条件を全て満たしている必要があります。
- 耕作又は養畜の事業を行う個人又は農業生産法人(農地法(昭和27年法律第229号)第2条第3項に規定する農業生産法人をいう。)が利用権の設定等を受けた後において備えるべき要件は、次に掲げる場合に応じてそれぞれ定めるところによる。
- ア.農用地(開発して農用地とすることが適当な土地を含む。)として利用するための利用権の設定等を受ける場合、次の(ア)から(オ)までに掲げる要件のすべて(農業生産法人にあっては、(ア)、(イ)、(ウ)、(オ)に掲げる要件のすべて)を備えること。
- (ア)耕作又は養畜の事業に供すべき農用地(開発して農用地とすることが適当な土地を開発した場合におけるその開発後の農用地を含む。)のすべてを効果的に利用して耕作又は養畜の事業を行うと認められること。
- (イ)耕作又は養畜の事業に必要な農作業に常時従事すると認められること(農業生産法人等にあっては、常時従事者たる構成員がいるものとする。)。
- (ウ)その者が農業によって自立しようとする意欲を認められること。
- (エ)所有者の移転を受ける場合は、上記(ア)から(ウ)までに掲げる要件のほか、借入者が当該借入地につき所有権を取得する場合、農地の集団化を図るために必要な場合、又は近い将来、農業後継者が確保できることとなることが確実である等、特別な事情がある場合を除き、農地移動適正化あっせん譲り受け等候補者名簿に登録されている者であること。
- イ.混牧林地として利用するため利用権の設定等を受ける場合、その者が利用権の設定等を受ける土地を効率的に利用して耕作又は養畜の事業を行うことができると認められること。
- ウ.農業用施設用地(開発して農業用施設用地とすることが適当な土地を含む。)として利用するため利用権の設定等を受ける場合、その土地を効率的に利用することができると認められること。(飯綱町農業経営基盤の強化の基本的な構想の一部抜粋、詳細は産業観光課農林担当にご確認ください)
2.申し出するための必要な書類
利用権設定の申し出にあたり、次のとおり書類を提出していただきます。添付書類の不足、押印もれなどがある場合は受理できません。また、このほかにも特段の事情がある場合、その他書類の提出を求めることがありますので、ご不明な点がございましたら産業観光課農林担当・農業委員会 事務局までお問い合わせください。
3.農地法第3条による賃貸借と経基法による利用権の設定の違いについて
経基法による利用権設定の場合、実施区域は飯綱町全域です。
農地法の第3条の許可を得て貸借権(使用貸借権を除く。)を設定した場合は、契約期限が到来しても両者による解約の合意がない限り契約は解除されませんが、経基法による利用権を設定した場合は契約期間が終了した時点で契約は解除されます。このため、農地の所有者は貸した農地が戻らないなどの不安を解消し、安心して貸し借りをすることができます。
手続きの流れ
1.認定の手続きの流れ
2.申し出するための必要な書類
利用権設定申し出の手続き用紙は、役場産業観光課農林担当(三水庁舎)にあります。
留意点
- 利用権の設定期間は基本構想では概ね3年以上ですが、当事者間の意向により定めることができます。貸し手、借り手の移動などを考慮すると10年以下が良いでしょう。
- 権利の種類は、一定の料金(又は米などの現物)を支払う賃貸借権と無償で貸し借りする使用貸借権があります。
- 賃貸借権の場合の貸借料は飯綱町の賃借料情報を参考にして決めて下さい。
農地の有効利用は利用権設定で!
農地を遊休化させて荒廃させると、数年を経るごとに農地性を失い復旧させるのに多大な投資と労力がかかってしまいます。高齢や勤めで耕作できない人は、農業経営規模を拡大したい人に貸して、農地の有効利用を考えてみませんか。